<レンアイ成就〜出逢ったからには[2]>
翌日の昼、早速屋上に行ってみると、そこにはサンジが。
“よかった。来てくれたんだ、ちゃん、ナミさんも”
サンジはそう言ってくれて、場所をあけてくれた。
それ以降、お昼はどうしても、の用事がない限りサンジとナミと、3人で一緒に食べるようになった。
お昼を一緒にして、それから予鈴が鳴るまで一緒にいて。
部活がない日はそれまでだけど、部活がある日は “じゃ、またね” みたいな感じで分かれて、
教室に戻って。早く早く、授業終わらないかと心待ちだった。
授業が終わって部活の時間になれば、真っ先に調理実習室に行って。
“おっ、ちゃん早いねー、そんなに俺に会いたかった?”
なんて言われて、思わず“はい!”って答えてしまったときには、本人も言ってからびっくりした
けれど。
“……そっか、嬉しいよ。俺も早く放課後になんねェかなー、って思ってたし”
一瞬、見開いた眼をすっ、と細めて優しい笑顔に変えて、サンジは答えてくれた。
もちろん、その様子を見ていたナミも、フッと微笑んだ。
それからだったろうか、サンジとの距離が縮まったように思ったのは。
この学校は、学年が違うと校舎も違ってしまうので、休み時間でも滅多に会うことはない。
ただ、理科の時間に実験室に行くときは別。ココへは、場所の関係上、サンジのクラスの前を
通らなくてはならない。
まだ見ているだけ、部活の最中に必要最低限の会話しか出来なかった頃は、少しドキドキしながら、
ちらっと開いている扉から通りがかりの一瞬だけ、教室の中を見たとき、見えるサンジにドキドキ
していたけど……
最近は、通りがかるときに見てみれば、それに気付いたのだろうサンジが、こちらを見てニコニコして
手を振っていたり。
それにあわせて、会釈してみたりした。
“ちゃんの玉子焼き、美味いんだよなー”“先輩の唐揚も美味しいですよ”
そのうち、お昼には互いに持ってきた弁当のおかずを交換しあったり。
期末テストが近くなって、どうしよ、わかんない、と言っていたら勉強も見てくれたり。
それはもちろん、昼休み利用してだけではなくて、放課後もつきあってくれた。
“任せなさいって、俺は一年前に全部やってるんだぜ?”
と言うサンジのおかげで、何度赤点を免れたことか。
自分につきあっていてはサンジ自身のテスト勉強ができないのではないか、が心配しても、
大丈夫、コッチはコッチでちゃんとやってるから、とサンジはにっこり笑って言い、見てくれた。
“それにテスト期間中は部活動ナシだから、こうでもしないと放課後、ちゃんに会えねェからな”
とまっすぐこちらを向いて言ってくれたのが、本心だったらいいのに…… と思いつつ、数式を解いた
のは、いつのテスト勉強のときのことだったか。
そんな感じに。そんな感じに、“最も親しい後輩の一人”にはなれていると思う。
学校での生活、入学から今日まで、の高校生活は、サンジ抜きでは語れないくらいだ。
だけど……
今日のサンジ先輩の誕生日に、“最も親しい後輩の一人”から一歩、踏み出したい。
踏み出した結果が、どうなるかわからないけれど。
2週間前のバレンタインデーの日は、運悪く風邪を引いて熱を出してしまい、当日と明くる日の2日間
学校を休んでしまった。
治って学校に行けたときには、もうとっくにバレンタインの雰囲気はなくて。
行き場をなくしたチョコは、自分で食べた。食べながら、決めた。今日のことを。
ナミに話したら、 “よっし、よく決めたわね。がんばれ!” と肩をぽんと叩かれてニカっと笑って
くれた。
上手くいく、なんて保障はどこにもないけれど。
下手すれば玉砕かも、だけど。
“最も親しい後輩の一人” から抜け出す決心を、は、した。
「……じゃ、、サンジ君。私、昼食べたら来るように、って先生から呼び出しあるから、もう行くわ」
日差しが気持ちいい、温かい日には屋上とかもいいけれど、今の季節はまだ、外で食べるには肌寒い。
そんな日にはここ、学生食堂で。
実際に注文はしなくても、弁当や購買のパンを持ち寄って場所だけ借りるのもOKなため、他にも
たくさんの生徒がいた。
その中に・ナミ・サンジの姿も。
「あ、うん。いってらっしゃい」
実際には呼び出しなどないのだけれど。
“今日、お昼食べたら私は席外すから、ちゃんとプレゼント渡して、それで告白しちゃいなさいよ。
……大丈夫、上手くいくって、自信持って。バレンタインの分も、気合入れなさいよ”
と食堂に向かう途中、ナミはにそう言った。
うん…… と自信なさげながらも頷くの手には、いつものランチバックの他、しゃれた感じの
小振りの手提げ袋が下がっていた。
「…あのっ、先輩。私たちも場所変えませんか? ちょっと渡したいものがあるんです。……お話も」
……言った。言ってしまった。これでこの場を離れたら、もう後戻りできない。
「……いいよ。行こうか」
静かに、そう言って立ち上がるサンジに、はきゅっ、と手に持ったランチバックと手提げ袋の紐
を握った。
「ここでいいかい?」
できたら二人きりになれそうな場所…… と思っていたら、サンジが連れてきてくれたここは、屋上。
二人が今のように、親しくなれたきっかけの場所。
頭上には晴れ渡った青い空、だけど今はちょっと肌寒いせいか、他に人影はないようだった。
「それで。話って…」
先に屋上へのドアを開け、外に出ていたサンジが、後からついてきてるであろうを振り返った。
「えっ? あ、えっと、その……」
「……あァ。ゴメンちゃん、急に話しかけて。そんなに緊張しないで、こっち来てごらん? な」
二、三歩ほど先に行っていたサンジが振り返って話しかけた途端、その距離が開いたままで
立ち止まってしどろもどろになったに、サンジが柔らかい表情で手招きしてくれた。
はい…… と頷いたが、サンジの傍に行く。
「……先輩、お誕生日おめでとうございます」
改めて。はそう言うと、手提げ袋をサンジに差し出した。
「ありがとう。今日二度めだね。…これも、貰っていいのかい?」
そう言われて、こくこくとが頷くと、 “ありがとう、嬉しいよ” とサンジが受け取ってくれた。
「それで、あの……お話っていうのはっ」
プレゼントは受け取ってもらえた。……あとは、この気持ちも。この気持ちも受け取ってもらえば。
しかし。
料理部に入ったばかりの頃、見つめてばかりの中、ときどき話しかけてくれたらば、ぎこちなく返して
いたあの頃に比べたら、今はずっとずっと親しく、普通に口もきけていたはずなのに。
いざ、この気持ちを打ち明けようとしたらば、何か。
あの頃に戻ったみたいだった。
「あの… 私っ、料理部に入ったとき、初めて先輩に会ったときからっ」
それでもどうにかこうにか、はその想いを伝えようと、必死に言葉を綴っていた、そのとき。
「……そうだな。ちゃんが、初めて料理部に来た日のこと。俺も、まだはっきり憶えてる」
サンジがそう言ったのに、がはっとして、彼を見上げた。
「ちゃんだけじゃねェな。あの日は、ナミさんも他の一年のコも。俺の予想より結構多かった、
一年の女の子の新入部員」
どこか遠くを見るように、サンジが言った。
「んで一年経った今でも。みんな、辞めないで続けてくれてるんだ。ありがてェこった、中には退部者
続出で存続危ねェトコもあるってのに」
こくん、とが頷いた。
そう、みんな辞めていない。みんな料理やお菓子作りが好きっていうのもあるけれど、きっとサンジ先輩
のことも、少なからず好き… なんだ。
サンジ先輩を追ってると、気付くもの… 彼女も同じだ、って。
「そうだ、出会いは同じ。今いる一年の女の子、ナミさん以外はみんな、その日の料理部で初めて
出会ったんだ。……その中でただ一人。一人だけ、特別になっちまったコがいた」
一人だけ、特別。そう言われて、どきっとした。
先輩に、そんな風に想われている女の子がいる―――
「最初のきっかけはさ。いつも部活の時間、調理中にも俺のこと、ちらちら伺ってるコがいるなって
気付いたとき。そのコのところ行って、進み具合見て、苦戦してるみたいだったらアドバイスしたり
手伝ったりして。そしたらさ、ちょっとぎこちねェながらも嬉しそうに応えてくれるんだよね。
かわいいな、って思っちまった」
そっか… 気付いてもらえたんだ、そのコ。ホントはみんな、少なからずサンジを伺っている中で
特別に……
がぼんやりと、そのコを羨ましく思っていたらば。
不意に、それまで視線を外していたサンジが、を正面から見据えた。
「そしたら、ある日。そのコが、昼休みに購買の前で困ったような顔して立ち尽くしててさ。
ワケ聞いたら、朝家出るときに弁当、玄関に忘れてきたってさ」
―――え? それ…
「そのコにゃ悪ィけど、こりゃチャンスだって思っちまった。屋上連れてって俺の弁当…… そのときは
サンドイッチだったんだけど、分けてあげたら、すごく喜んでくれて。それをきっかけに、明くる日から
一緒に昼休み、過ごせるようになったんだ。最も、俺の幼馴染で、そのコの親友も一緒にだけどな」
―――あ……
まさか…… の顔に、明るい色が浮かんだ。
「今日も、そのコから朝と今と。二回も、誕生日おめでとうって言われて、プレゼントまで貰っちまった。
ホント、コレ以上に嬉しいことなんかないぜ。…もし、あるとしたら」
「先輩……」
「聞きてェな。そのコの……ちゃんの、俺への気持ち」
ん? とサンジが微笑って、聞いてくる。
「言ってごらん。下手に緊張なんか、しなくていいから。ありのままのちゃんでいいから、聞きてェな」
俺今日、誕生日だしv なんて、ニカッと笑って促すサンジに、頷くと、は言った。
「……好きです。ずっと前から。あの日、私がお弁当忘れた日…… 先輩はチャンスだって言いましたけど、
私にとっても、そうでした」
やはり、言葉にするのはそれなりに緊張したけれど。
でも、言えた。それも、たぶんいい表情で。
「……俺も。思えば、アプローチもチャンスも告白も…… 今までは全部、ちゃんからだったけれど。
ここから先は、俺にもリード、させてくれないかい?」
それにが頷いたのは、言うまでもない。
先輩に出逢った初めての部活の日から、約一年。一年かけて、親しくなれたその結果。
その先輩の誕生日に…… “最も親しい後輩の一人”から大きく抜け出せて。
“おめでとう。ね、だから言ったでしょう? …実はサンジ君、今年のバレンタインは本命扱いのチョコ、
片っ端からゴメンナサイしてたのよ。本気で好きになったコがいるから、ってね。もちろんそれが誰か、
私知ってたし。そのコのことはともかく、バレンタインのことは教えてあげようって思ってたら、ったら
休んでる間に自分でチョコ食べちゃって、今日のこと決めた、とかいうんだもん”
だったら黙ってても上手くいくかな?って思ってたってワケ。あ、明日から私、お昼別にしようか?
と言ったナミには、でもやっぱり一緒にいてもらうことにしたけれど。
これからの高校生活、あと二年。今までよりずっとずっと素敵なものになりそうだと、は思った。
<fin.>
っはー! ようやく書きあがりました!
4000HITキリリク、舞織様に捧げますv(っていつだよ4000って……・汗)
ムダに長くてすみません… えぇ、2つに分けるとゆー……(ひとつにしたら40KB超えるので仕方なく…
横のスクロールバーが5ミリ位しかなかったです!)
こんな長い話でもよろしければ、舞織さんのみお持ち帰り可です。どうぞ〜v
“憧れのサンジ先輩と、あまあま学園生活v” えー、キリ番・ゴロ番リクエストの一覧見てきたところに
よりますと、こうなっております。と… とりあえず叶えられておりますでしょうか!?
………あんまりあまあまじゃないかも…… もしかしたらこれからあまあまになるとこなのかも……
いつもご贔屓にしていただいてるのに、お待たせした挙句、こんなに長々書いた挙句、こんなので
すみませんーーー!
つ、次のリクこそはーーー!(って葉月さん、アナタ幾つリク戴いてるんですか)